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読書を楽しむ「相場英雄 不発弾」

008.JPG                                                               日本を代表する電機企業三田電機産業が                                          ”不適切会計”という見出しが大手紙の一面に載った                                 財界にも多数の人材を送り出した老舗                                               警視庁捜査2課は不正経理も不適切会計も意味合いは                                         一緒のはずだと理解していた                                                           明確な粉飾なのに穏便な表現になったのは背景になんらかの力が                                        働いたのではと考えていた                                                 捜査2課は証券アナリストから情報を仕入れ、三田電機がここ10年のパソコンや                         液晶パネル事業の国際的市況悪化で業績不振に陥っていたことを知る。                           そして、株式の上場廃止に追い込もうと考えたが、三田電機には古賀遼という                            三田電機の裏を知る人物の存在が浮上した。                                              古賀遼こと古賀良樹が1960年、福岡県大牟田市出身で商業高校を卒業後、                                国民証券に入社し、1990年に退社し、金融コンサルタント会社                                     「コールプランニング」を設立したことを知る。                                  捜査2課の小堀は証券取引等監視委員会の岡田次長に古賀に関する情報を依頼した。                          岡田は日本で裏の仕事を専門にこなす男がいる情報を知っていた。                                             小堀は大牟田に出かけ新たな手掛かりを得てきた。                                                             堀口という指定暴力団の構成員が酒を飲んで古賀の母親を車でひき殺した。                                   その堀口は古賀と高校のバスケット部のチームメイトだったこと、                                        古賀の妹が自殺していたこと、母親の愛人だった信金の理事長が自殺し                                    ”不発弾を背負って死ぬ”とメモに書き残していた。                           信金は客からの金集めはうまくても、これを効率よく運用する術を知らない。                                         そんな信金の理事長に古賀は利回りが高い商品を提案した。                                            商品は取引一任勘定という高リスク高リターンの商品だった。                                    そんなとき大蔵省証券局から通達が出て、事後的な損失補填や特別の利益提供が                     禁止された。                                               このことで、70兆円規模の営業特金や取引一任勘定を利用している相当数の                     顧客は突発的な損失に直面することになる。                                        そんな古賀にアメリカの大手証券会社の東京支店の杉本が損失を一時的に穴埋めする                           債券を作ればと仕組債の導入を説明する。                                                  デリバティブ(金融派生商品)は、将来の損失を回避する目的で誕生した商品だった。                       大蔵省も損失を計上する企業が続出したら日本企業の傷が深いとなり海外投資家にも                             影響が出て世界同時株安に引き金を引くかもしれないことを懸念している。そこで                        大手証券会社は損失計上して多大な影響が出るような客に対しては事実上の補填を                              行うことにした。                                          このやり方は証券会社が客の株を紛失したことにすれば損害金として処理できるらしい。                          証券会社の売りたがっている商品は、目先の損失を隠し、一時的に利益を生む                             仕組みになっているが、間違いなく後世に膨大なリスクを背負わせる「不発弾」                      に変質する。                                               作者はこのことを読者に伝えたかったのではないかと思える。                                      日銀のマイナス金利政策で株式や債券取引に運用損が出たとしたら、巨額の損失に                            蓋をしたいと画策する。                                              このことで公的年金運用にもリスクが発生するかも知れない。                                         当然の如く、蓋をされ不発弾なら後世で爆発することになる。                                         古賀は警察の調べに対し、インフルエンザウィルスの例え話をした。                                  様々なインフルエンザウィルスに対抗するために、新薬が出続けている。                                       しかし、ウィルスの中には生き残る輩が現れる。この生き残る輩が古賀は自分だと言う。                                      裏を知る人物がいる限り、三田電機は上場廃止には絶対ならないし、古賀もパクられる                                 ことはないということになる。                                        粉飾のプロフェッショナルの手口とくとお読みあれ。      


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