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読書を楽しむ「諏訪哲史 岩塩の女王」

014.JPG                               青年ハインリッヒの長い間唯一の話し相手であった道師が亡くなり                            意を決して目指したのは、地下に計り知れる量の岩塩鉱を埋蔵すると                                               言われた山だった                                                      ハインリッヒは幼い頃より、空想の人々が描かれた小説の中で山の鉱石の                                         内部世界に溶け込んだ夢物語を他人から病的と思われるほど真剣に考え、                                    その不可能な妄想を可能にするのが山に棲む岩塩の女王だと夢見つづけていた。                                今宵も岩塩の女王がハインリッヒの長年にわたる一方的な感情移入のせいで                                  犀に似た動物に全裸の女がまたがり駆けすぎていく光景を眺めた。                                 岩塩でつくられた宮殿でハインリッヒはある儀式の主賓として招かれている                                             ようであった。                                                 やがて、朝焼けを浴び、このたまゆらなる幻想に別れをつげた。                                     岩塩に魅了された男が山で一夜の幻想体験。すべては夢でござる。                               ときには幻想体験なるものも楽しい。


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