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読書を楽しむ「熊谷達也 揺らぐ街」

DSC03052.JPG                                    東日本大震災を題材にした作家と編集者の物語                                                  震災を題材にした物語は多数あるが、この物語はひとりの女性編集者が神保町を                               歩いているときに地震に遭遇するところから始まる。                                  喫茶店で作家と待ち合わせの約束をして向かっていたところだった。                                出版社の編集者は山下亜依子。                                          彼女は編集長に電話を入れ震度7だったことを知る。                                                 作家の桜城葵とは連絡が取れ、喫茶店で会うことができた。                                    彼女は徒歩で下高井戸の自宅まで帰り、TVで津波が平野を呑み込む映像を見た。                             そして、ふたりの人物が脳裏に蘇った。                                                ひとりは川島聡太で以前付き合っていた男、もうひとりは武山洋嗣で消えてしまった                                  新人作家だった。ふたりとも偶然にすぎないが宮城県の港町・仙河海市出身だった。                                      山下は、編集長の小暮に呼ばれ武山を探し出し震災を題材にした本を書いてもらえと                                 言ってきた。山下は3年前から武山と連絡が取れていなかった。                                       震災から1ケ月半が過ぎて山下は桜城とまた神保町の喫茶店で会った。                                 桜城は痩せて日焼けしていた。ボランティア焼けだといい、岩手と宮城の                                                  沿岸被災地でボランティア活動をしていると話した。                                        彼女は、震災が原因で作品が書けなくなっていたが山下に会って被災地を                                        舞台にした作品を書きたいと言った。                                 山下と桜城は、それぞれの目的で仙河海市出向き津波が引いた後の瓦礫の                                街並みを見た。                                                                  桜城は消息不明の小説家を探すために被災地に足を運んだ編集者を主人公に                               本を書こうと考えていた。                                                   山下は武山の消息を訪ねて回ったが家は流されて、親族は北海道へ避難していた。                                        そんなときに偶然乗車したタクシーの運転手が山下の元カレだった。                              元カレの川島に武山のことを聞いたら仙台の予備校で一緒に講師をしていたと                                 聞き電話を入れてもらい会うことになった。                                                  そして、山下は武山に会ってもう一度小説を書いて欲しいと依頼するが・・・。                           2011年3月11日午後2時46分、この国に暮らすひとたちの時計の針は                                  いったん止まり、日常を取り戻すことでまた動き出した。                                             その進み方は、ひとによってまちまちになっている。                          命は助かったが家も仕事も失ったひとの時計はゆっくりしか進んでいない。                             小説家は小説を書くことでしか自分の時計の針を動かせない。                               このことが言いたくて書いた本のような気がします。                          あるいは被災した登場人物たちの気持ちの代弁をしているのかも知れない。


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