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読書を楽しむ「小池真理子 夏の吐息」

DSC02521.JPG                                                                  役者になる夢を捨てきれなかった昌之と妙子は                                                   俳優養成所で知り合った                                                       ふたりは「野火は燃えて」という映画で性交シーンを演じた。                                                  昌之28歳、妙子26歳のときだった。                                                                        ふたりは東京世田谷の私鉄沿線の駅を降りて歩いて15分のところにある                                        2階建てのアパートで暮した。                                                             入籍はしていなかったけれど結婚したも同然で妙子のお腹にはこどもがいた。                                 6年前、昌之が突然姿を消した。6度目の夏を迎えた。                                               昌之の母親は東京郊外で小さな化粧品店を営んでいた。                                                            昌之が失踪する2週間まえにふたりは「ひまわり」というイタリア映画を映画館で観た。                                妊娠5ヶ月の頃だった。                                                                       映画のヒロインの夫は戦争に行って妻のもとに戻らず別の人生を歩んでいた。                                           失踪したことで昌之の母親に相談し警察に捜索願いを出したが有力な情報はなかった。                                  お母さんがアパートに寝泊りするようになって10日後に流産した。                                                  こんなことがあり妙子はお母さんの家で暮すようになった。                                                           失踪して4ヶ月後に昌之からと思われる電話を受けたが応答がなかった。                                                     電話は妙子がアパートを引き払う日にもあったが一言も相手は発しなかった。                                   3度目の電話は5年ぶりにかかってきた。                                                     妙子は昌之の名を呼んだが受話器の奥から聞こえてきたのは吐息だけだった。                                        男の吐息に「わたし待つわ」という女。                                                     映画「ひまわり」の受け売りみたいな気もするがそれも人生。


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