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読書を楽しむ「サラ・ボーム きみがぼくを見つける」

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村の雑貨店のウィンドウの内側に
張り紙があった
傷だらけで醜い顔写真と飼い主求むの言葉

季節は春。
火曜日は町に買い出しに行く日。
そして、火曜日にきみがぼくを見つける。
アニマル・シェルターで書類にサインし、寄付金を支払い、ぼくはきみを
サーモンピンクの家に連れてきた。
ぼくの歳は57歳。
ぼくはワンアイ(片目)とその犬を呼んだ。首輪も買った。

きみがやってくるまで、ぼくは毎日なにをしていたのだろう?
もうすでに思い出せない。
ワンアイに散歩の仕方を教えた。
座れ、待て、止まれ、付けどんな命令にもきみは従わない。

サーモンピンクは父の家だ。
こどもの頃、1階は婦人服のブティツクだった。
生まれる頃の夢を見るが、母親がいないと気づくのに何年もかかった。
親は一人しか持つことを許されないのだと思い込んでいた。

夏。
ワンアイはコリーの鼻面に食いついた。
ワンアイは窓の見張り台から外を見たり、日向ぼっこをした。
ワンアイは自分の都合の良い時だけ、ぼくのところに戻ってくる。

ぼくもこどもの頃、窓辺で通学するこどもを見ていた。
近所のおばさんが縫物と読み書きを教えてくれた。
父が亡くなったあと、ぼくを捕らえる人がやってくると覚悟していたが
福祉事務所で書類を書いたら、誰も捕らえにこなかった。
父はソーセージのかけらが気管を塞いだことで亡くなった。83歳だった。
父にはたった一度だけ誕生日を祝ってもらった。
父はお菓子をつくる工場で76歳まで働いた。

少年が連れていたシーズーをワンアイが噛んだと言って、野犬捕獲員が来た。

秋。
ぼく達は車を走らせていた。車がぼくらの家になった。
後部座席はワンアイのものになった。
ぼくが40を過ぎた時に父が運転を教えてくれた。

冬。
海辺の町で散歩をした。崖を這いおりて、きみのリードを外した。
12月に我が家へ忍び込んで父の骨を探し、母の墓へ持参した。
そして、トーニー・ベイへ行った。
買い置きしていた食料が底をつきそうになったので村に戻って
食料雑貨店にと思ったがお金も残っていなかった。
途方に暮れたが我が家へ戻り、キッチンでフライパンに火をかけ
きみがすべてだと言った。

独りより、ひとりと一匹。この世に生を受けたなら独りは良くない。


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