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読書を楽しむ「J.G.バラード短編集 歌う彫刻」

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歌う音響彫刻<ゼロの軌道>の作者・ミルトンは
元女優のルノーラ・ゴールンに恋をした

ふたりは3年前にネフェルスのギャラリーで開催されていた音響彫刻の
特別展示会で彫刻の作者と客として出会った。
ネフェルスがひとつひとつの作品をルノーラに案内した。
ネフェルスが彫刻のスイッチを入れると十二音に基づく様々な機械音を出した。
ミルトンはこのとき自作の彫像の中に入り込んでルノーラを見ていた。
ルノーラが店の奥にあったミルトンの彫刻を見上げた。ミルトンが潜んでいるのには
気づかなかった。
ミルトンは回路テスト用のハンドマイクを掴み<クレオール・ラブ・コール>のリフレ
インを口ずさんだ。ミルトンはインチキをした。
ところが、彼女は気に入り購入した。

翌日、ルノーラの秘書より電話があり購入した彫刻が単調な機械音しか出さないという
苦情を受け、修理にルノーラの別荘を訪問した。
ミルトンは工具箱からテープを見つからないように取り出し再生用デッキにセットし
スイッチを入れるというインチキをまたした。
彫刻が震動しメロディアスな歌声が流れてきた。
彼女は満足した。

彼女に会いたいがためにミルトンは彫刻の調整と言って別荘を訪問するが秘書に拒まれ
忍び込んでテープを取り替えたりした。

男という者は女優に弱い、せめて別荘にいる間だけでも接していたいと試みるが
女優という者は気まぐれで、本当は彫刻に興味があったわけでもないことを知り
男の想いは思い出と消える。


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